Windows 10のMS-IMEでは、気づきづらい場所に変更が入っています。一部の人にとっては重大なので、詳細に(推測を混ぜつつ)紹介します。
頻出単語について、短く入力できるような登録をする場合があります(注意:本来の読みと異なる登録は、把握しきれなくなるなどの問題があるので、使いすぎには注意が必要ですが)。しかし、Windows 10では、登録したはずなのに、うまく変換できない事例が起こることがあります。
ここでは「要約筆記」を「よひ」で登録したい場合を取り上げます。これはただの例であり、必ずしも他の人に推奨するとは限らないので、ご了承ください。
図 「要約筆記」を「よひ」という読みで登録
この状態で「よひ」を変換すると、「要約筆記」が出てきます。これは正常な動作です。しかし、助詞をつけると、うまく変換できません。
図 メモ帳で「要約筆記を」と打つため「よひを」と入力
図 「よひを」全体を選択しても、変換できない
あくまで「よひ」だけに範囲を限定して変換する必要があります。これは不便です。
でも、このパターンの失敗が常に生じるとは限りません。そこで、辞書ツールで確認してみます。すると、品詞が登録時と異なります。
図 辞書ツールで見ると品詞が「短縮よみ」になっている
「短縮よみ」とは、文や固定フレーズのようなものが対象なので、助詞をつけた形では変換がうまくいかないようです。
「短縮」がひっかかるので、読みを伸ばしてみます。まずは3文字。
図 読みを3文字にしてみる
図 変換できず
3文字では、だめでした。次は4文字。
図 読みを4文字にしてみる
図 変換できた
今度は成功しました。
ここで、改めて辞書ツールで確認してみます。
図 辞書ツールで登録結果を比較
2文字(「よひ」)、3文字(「よひき」)は「短縮よみ」になっている一方、4文字(「よやひき」)は「名詞」のままです。どうやら、MS-IMEへの単語登録時に勝手に品詞を変えてしまうようです。
他の単語でも確認した結果、「単語」の文字数より「よみ」の文字数が少ない単語が自動的に「短縮よみ」にされると分かりました。これはWindows 8.1以前ではなかった動作であり、利用者視点で言えば不具合といっていいレベルです。
それに、地名や人名で変わった読みもある……と考えると「固有名詞で登録する」という対策が浮かびます。
図 「要約筆記」を読み「よひ」の固有名詞で登録
図 固有名詞だと、勝手に短縮よみにされない
図 助詞をつけて変換できる
固有名詞で登録すると、助詞をつけても変換できるようになりました。では、他の品詞だとどうでしょう。現実には「~する」という形(サ行変格活用する動詞にできる名詞)もあるので、試してみます。
図 「要約筆記」を読み「よひ」の「名詞・サ変形動」で登録
図 「要約筆記する」と出すために「よひする」と入力
図 意図通りに変換できる
図 助詞つきでも変換できる
というわけで、まとめます。
以上です。
このような仕様変更は、本当にやめていただきたいところです。
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